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お客様の服を汚してしまったときの対応

飲食店では、スタッフの不注意などによって、料理やドリンクでお客様の服装を汚してしまうことはよくあります。

このようなクレームケースの場合、お客様からのクレームをどのように処理していったらよいでしょうか?理想的なスタッフがとるべき対応の順序は以下のようなものです。

<b>(1)「謝罪」:お客様の服などを汚してしまったスタッフとともに、店長(現場責任者)や経営者(現場でもっとも責任がある担当者)がお客様に謝罪する

(2)「汚れ落とし対応」:お客様の関心事は何よりも、「汚れを落とす」ことです。汚れを落とす作業、汚れを取れやすくする作業を迅速に行う

(3)「専門家に任せる」:専門的に汚れを落とすため、クリーニング店に出す

(4)「フォロー」:お客様に対して、後日、必ずフォローを入れる</b>

ここで重要なのは、何よりも「謝罪」を優先するということです。

何を優先させるべきか


通常、衣服の汚れは時間がたてばたつほど、落ちにくくなります。常識的に考えれば、「汚れを落とす」方を優先させた方がいいのではないか?と思うでしょう。

しかし、「お客様は服を汚された」のですから、とても不愉快な気分になっています。とても理不尽な状況に置かれて、攻撃的な心理状態になっているかもしれません。たしかに、お客様も「早く汚れを落としてくれよ!」と思っているかもしれません。

しかし、お客様は不注意で迷惑をかけてきたスタッフへの怒りを軽んじているわけではありません。たとえ、汚れがきれいに落ちたとしても、スタッフや店への不満は消えません。

お客様が持っているだろう、「理不尽な不幸」に対しての怒りの心理を考えれば、汚れを落とすよりは、謝罪をして、お客様の気分を緩和することが先です。

合理性よりも感情


クレームサービスの基本は、「合理性」よりも「感情」です。

もしお客様に謝罪することなく、さっさと汚れ落としの対応や処置をスタッフがしていたら、「なんだこいつは!!」とお客様の心にふつふつと怒りがこみ上げてくることでしょう。

ですから、できるだけ早く汚れ落としの作業に入るために、深く、迅速に謝罪をしっかりと行います。その後、汚れ落としの作業に入ります。できれば、謝罪と同時進行に汚れ落としを進めるといいでしょう。

時間が経つほど、汚れは落ちにくくなる


衣服の汚れは、時間がたつほど落ちにくくなるものです。

油系(油、バターなど)の汚れは、まずは「吸い取ること」が優先事項です。紙や布で押さえ込んで、油分を吸い取ります。絶対にこすることはしないでください。油分が広がり、汚れの部分が拡大するだけです。あくまで、油分を吸い取るように、紙や布で押さえ込んで、吸い取ります。

油分がなかなか吸いとれない場合、中性洗剤を水で薄め、油分を浮き立たせるようにします。

水性(コーヒー、ジュース、醤油など)の汚れは、布地に水を含ませ、下から乾いた布をあてて、汚れを移し取るようにします。移し取るときには、軽く布地叩いて、汚れが移りやすいようにします。このときも、こするようなことはしないようにします。汚れの面積が広がってしまうからです。

作業を進めながら、お客様からは汚れる際の状況や主張、汚れてしまった服や持ち物への思い入れなどを伺い、その後の対応の基本情報を収集します。お客様には事情聴取のようなイメージを与えないように、会話の中で情報収集します。

お客様が服や持ち物に思い入れがある場合、それについてよくお話を伺い、同情と謝意を示して、お客様との共感を深めておきましょう。また、後日連絡を取るために、お客様の連絡先(電話番号がよい)をお聞きすることも忘れないようにしましょう。


この汚れ落とし処置で、どんなに汚れが落ちたとしても、必ず専門家のクリーニングを受けるようにします。

基本的に、店が服や持ち物を預かり、専門のクリーニング店に洗浄に出します。クリーニング店には「何で汚れたのか」を明確に伝え、シミ抜きに間違いがないように万全をつくします。

もしお客様が「クリーニングに出す必要はない」とおっしゃった場合には、無理強いせず、汚れの原因食材の情報をメモして、お渡ししましょう。お客様がクリーニング店にシミ抜きに出す際に役立つようにします。

最後に、後日お客様にお電話を差し上げ、服や持ち物の様子を伺います。お客様が独自にクリーニングに出したのであれば、その状況を聞きます。手厚いコミュニケーションをとることで、お店へのマイナス感情はプラス感情に転換することでしょう。

予防策


スタッフがお客様の服を汚すといったケースを予防するため、以下の対策を行います。

(1)スタッフの所作教育
スタッフが料理やドリンクでお客様の服や持ち物を汚さないように、料理やドリンクのサーブ(テーブルへの提供)の技術を高めることが、基本です。

お客様が不意に予想外の動作をすることで、スタッフとぶつかり、料理やドリンクがこぼれてしまうという危険もありますから、そこまで計算して行動できるように、スタッフの気配りを教育できれば、上出来です。しかし、気配りの度合いは人によってさまざまですから、どんなにスタッフを教育しても完全ということはありません。

(2)お客様への注意喚起
鉄板など火傷をしそうな料理を出す店舗の場合、「熱くなっておりますので、やけどにごちゅういください」と注意喚起を必ずされていると思いますが、料理やドリンクで服を汚さないというケースでも、この注意喚起が必要です。

なぜなら、お客様の服が汚れる場合でも、必ずしもスタッフが汚すばかりではないからです。お客様が自らこぼしてしまう、汚してしまうということもあります。このように、お客様が自分でされたとしても、店やスタッフの過失になる場合があります。

それは「お客様の服や持ち物が汚れることが、容易に想像できる」料理やドリンクをサーブし、一切注意しない場合です。液体がこぼれやすい容器を使うなども過失になります。

料理の性質から、服や持ち物が汚れやすいお店もあるでしょう。その場合は、必ず注意喚起をします。

「こぼしやすいのでお気を付けください」
「お客様のお服が汚れやすいのでお気を付けください」

上記のような注意喚起をしておけば、お客様が自ら汚したのは「ご本人の責任」になります。

(3)対応マニュアルの整備
どんなに準備・注意しても、トラブルは起きるものです。

トラブルが起きたとしても、対応の基準がしっかりできているならば、問題はありません。服を汚されたことをきっかけにお客様がお店と親密になるということもあるかもしれません。

しっかりとした対応の手順を定めておきましょう。

回復不能な時には


重要なことは、クリーニング業者もお手上げの汚れの場合に、どのような対応をするかです。

汚れが落ちないのならば、弁償・補償をする必要があります。汚れの程度によって、支払うべき補償額をあらかじめ決めておきましょう。

お客様が、汚れた服にどのような思い入れがあるかは、スタッフ・店には想像できません。お客様によっては、法外な補償額を要求する方もいるかもしれません。そのようなときには、「無理難題を要求するお客様だ」と判断するのではなく、「それだけお客様の思い入れが大きかったのだ」と考えるようします。

しかし、弁償・補償はあくまで基準に則り行うことにします。そのため、ビンテージのジーンズや高額な高級服であるとお客様が主張された場合には、その客観的な証明が必要となります。高額な副食品であるならば、店側がいったん預かり、その査定をした上で、弁償額・補償額を決定します。