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保護者からのクレーム防衛策

保護者などからクレームを受ける件数自体を減少させるためには、クレームが生じにくい環境を創り出すことが必要です。

クレームが生じにくい環境の特性は以下のようなものです。
(1)保護者などとの緊密な関係が構築できている
(2)教職員の高いコミュニケーション能力
(3)教職員間の情報共有・改善活動
(4)教職員の「生徒本位」認識の徹底

これらの特性をどのように実践していくべきか、次に具体的に示します。

(1) 保護者などとの緊密な関係が構築できている


・教職員は保護者と緊密に連絡を取り、日常からコミュニケーションを持つようにする。生徒に問題があった時はもちろん、良いことがあった時も保護者との連絡を取ることが必要です。あまり目立つような事案がない生徒の保護者とは、コミュニケーションが疎になる傾向があるので、目立たない生徒の保護者とのコミュニケーションこそ、意識してコミュニケーションをとるようにしましょう。

・保護者から悩みを相談された時には、保護者と共感することが何より重要です。教職員という立場は保ちながらも、相手の「親」立場という点を理解し、自分がその立場に立ったつもりで、視点をコントロールすることが必要です。相談してくる保護者は、具体的な解決を期待するばかりではなく、共感してくれる人を求めて、相談してくる場合も多いので、保護者とどのように共感できるかは、教職員としての重要なスキルといえます。

・教職員が保護者の相談に対応することは当然であり、その体制づくりは必須の活動です。そのほかに、保護者間の悩み共有ができるコミュニケーションの機会を学校側で整備することも重要である。保護者会やPTA研修会などを活用することも有望です。

(2)教職員の高いコミュニケーション能力


・保護者クレームの減少にもっとも貢献する要素は、「教職員の高いコミュニケーション能力」です。単に保護者との接触の機会を多く持つことばかりではなく、コミュニケーションの質を向上させることが必要です。

・教職員と保護者とのコミュニケーションは保護者会、学校だよりといった伝統的なメディアをはじめ、今日ではウェブサイトやブログ、メールなど、様々なメディアが活用できますが、それぞれのメディアの特性を踏まえ、適切なメディアで適切なコミュニケーションを取るようにしましょう。

・教職員は、学校、学年、学級の教育運営方針、さらに学習指導や生徒指導の方針、その具体的な活動内容などについて、十分に保護者に説明し、その理解を得るようにしましょう。

・教職員はPTA活動に積極的に参加することが必要です。PTA活動に積極的になることで、保護者との信頼関係が醸成され、個々の保護者とのコミュニケーションを構築していく上でも良好な影響を与えます。保護者と教職員が共同で、良好な教育環境を創り出す気風を作るようにしましょう。

・クレームは保護者以外からも寄せられます。そのため、保護者のみならず、地域住民との日常的なコミュニケーションを持ちましょう。地域住民には、学校の教育活動への理解をもらう必要が第一ですので、学校の行事に参加してもらったり、学校の現状について、コミュニティペーパー(自治会の広報誌など)で学校からのコラムや情報発信のコーナーを持ち、積極的な情報発信を心がけましょう。積極的に情報発信することで、地域住民の学校に対する関心が高くなり、さらには、好感を持ってもらうことで、問題事象が起きた時の共同歩調がとりやすいような環境を醸成しておきましょう。

(3)教職員間の情報共有・改善活動


・教職員は、教職員間で情報共有することを日常化させましょう。

・クレーム対応という活動を、従来のいじめ、不登校など問題事象の対応や教育相談、生徒指導などと同列に位置づけ、組織的な対応を可能にする教職員研修を推進しましょう。

・教員は、生徒や保護者との間のみならず、同僚の教職員間でも緊密な関係構築を目指しましょう。保護者や生徒、地域住民からすれば、教職員は「一体」であり、教職員間で意見が分かれたり、異なる立場があることなどは理解不能なことです。保護者や生徒、地域住民から信頼を勝ち取るためにも、教職員間の良好な関係を構築することは至上命題です。学校経営の上でも教職員間の合意形成しやすい環境は極めて重要です。

・保護者などから受け付けたクレームは、すべて教職員で共有するシステムを徹底させ、クレーム対応をもれなく管理するようにするようにしましょう。クレーム対応は学校経営の改善の基本であることを教職員間で認識しましょう。

(4)教職員の「生徒本位」認識の徹底


・教職員は生徒本位の認識を徹底させましょう。学校経営というマクロの視点が重視される一方、ひとりひとりの生徒の立場で考えることが重要です。

・生徒一人一人の立場を尊重し、理解することで、生徒のみならず、保護者との関係構築に良好な影響をもたらします。

・生徒一人一人の尊重を目指すには、教職員は高い能力・スキルが必要になります。日々の業務を着実に行い、自らの能力研鑽や学習活動を念入りに行いましょう。